三田市けやき台の小児科・アレルギー科

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「血液型」を調べる意義はありません

今日のA型さんは、注目が集まりやすい一日に。今までの努力の積み重ねが結果に繋がるかも。そんなA型さんのラッキーアイテムは……。

こんな感じの「血液型占い」が、一昔前まで朝のニュース番組には必ずと言っていいほどありました。
最近は血液型占いはほとんど見かけません。
星座占いが主流だと思います。

「血液型」は知っておくべき情報ではありません。
そのため、「血液型」を知らない人は増えています。

血液型占いを最近放送しなくなった理由はいくつかあるでしょうが、「そもそも血液型を知らない人が増えたから」は理由の一つでしょう。

なぜ「血液型」を知る必要がないのか

お母さん

血液型を知っていたら、緊急輸血が必要な時に早く輸血してもらえるんじゃないですか?

現代の医療では、緊急時でも迅速に血液型を調べる手段が整っています。
輸血の準備をしながら、血液型を迅速に調べられます。

おかもと先生

記憶に頼った血液型の自己申告よりも、血液型を再検査するほうが正確です。

もちろん、出産や大きな手術を目前に控えている人は、有事に備えて血液型を調べられると思います。
しかし、それ以外の人にとって、血液型を知っておくメリットはありません。

保育園や学校の書類に「血液型」の記載欄がある場合

保育園に入園するときの書類に、血液型を書く欄がある場合があります。

空白のままで大丈夫です。
血液型を記載するために、子どもに痛い思いをさせる必要はありません。
その痛みの代わりに得られるメリットはありません。

赤ちゃんのときの「血液型」は再検査すべきか

生まれたときの臍帯血や、新生児マススクリーニングで、血液型を調べるサービスをしている産院はあると思います。

  • 赤ちゃんのときの血液型は、変わると聞きました。
  • 赤ちゃんのときの血液型は、不正確だと聞きました。

上記の理由で、「血液型をもう一度調べてほしい」と訴える人はいます。

これに対しても、私は「血液型を調べなおす必要はありません」とお答えします。

もし輸血が必要な事態になったとしても、結局はそのときに血液型を再検査します。
繰り返しますが、自己申告の血液型は医学的には意味がありません。
輸血において、血液型はきわめて重要な情報であるため、「自己申告」は信頼されません。

赤ちゃんのときの血液型は、再検査する必要はありません。
その血液型が万が一間違っていた場合も、必要時には再検査されますから安心してください。

「ついでに血液型も」はあり?

発熱診療やアレルギー診療で、血液検査が必要な場合があります。
このときに「ついでに血液型検査も調べてください」というのはありでしょうか。

私は、ありだと思います。
もちろん、血液型を知っておくメリットはありません。
しかし、採血量が少し増えるだけなので、子どもへの負担はほとんど増えません。

メリットはないとしつつも、血液型が分かることで「なんとなく面白い」と思うかもしれません。
当院では、他の血液検査のついでに血液型もついでに測定する場合、別途900円(税込)で調べることができます。

ちなみに赤ちゃんのときの血液型の精度は?

新生児期に測定した血液型は、不正確ではないかと考えられています。
その理由はいくつかあります。

  • 表試験のみ:  赤血球で検査する表試験と、血清中の抗体で検査する裏試験があるが、新生児は抗体量が少ないため表試験しかできない。
  • 赤血球の未熟さ: 新生児の赤血球はABO抗原の発現が弱い。
  • 母体由来の抗体: 母体から移行した抗Aや抗B抗体が新生児の赤血球に付着し、検査結果を歪める。
  • 検体量の制限: 新生児は採血量が限られるため、十分なサンプルを得られない場合がある。

理論上、赤ちゃんの血液型はO型に間違えられやすいと言われています。

ただ、私の経験上、新生児期の血液型がそれほどO型ばかりに偏っている印象はありません。
理論上は新生児の血液型は不正確なはずですが、経験上はかなり正確な印象を持ちます。

文献的検索を行うと、臍帯血での血液型検査は、表試験のみで99.9%正確だったという報告があります。

私が調べた限り、新生児期の表試験の精度を明確に示した論文は他にありませんでした。
意外なことですが、この問題の検討は十分ではないようです。

赤ちゃんのときの血液型検査は、思った以上に正確である可能性はあります。
ですが、繰り返しますが、血液型を知っておくメリットはなく、血液型を調べる必要はありません。

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