子どもはよく風邪をひく
子どもは1年に平均6~8回、風邪をひきます。
保育園に通い出したとき、きょうだいがいるとき、感染症がはやっているときであれば、さらに倍以上の頻度で風邪をひきます。
当院を受診する理由が「風邪」である人は多いでしょう。
風邪の治し方を知っていると、治療がスムーズに進みます。
ぜひ、風邪の治し方を学びましょう。
風邪の治し方
風邪にもっとも有効な治療は「よく休むこと」です。
よく休むことで、体力と免疫機能が回復し、風邪ウイルスは体から早くいなくなります。
では、よく休むためには、どうすればいいでしょうか。
体力を奪うほどの発熱は、解熱薬で少し熱を下げてあげられるとよいでしょう。
体が楽になって、よく休めるかもしれません。
強すぎる咳は、お薬で少し鎮めてあげられるとよいでしょう。
夜に眠りやすくなるかもしれません。
多すぎる鼻水は、お薬で出しやすくしてあげるとよいでしょう。
鼻通りがよくなって呼吸しやすくなります。
発熱・咳・鼻水は、体をウイルスから守るための防御機能です。発熱はウイルスをやっつけるための熱です。咳はウイルスが気管や肺に侵入するのを防いでいます。鼻水はウイルスを外に洗い流す作用があります。ですので、機嫌のよい発熱や、軽い咳・鼻を無理に薬でおさえる必要はありません。いっぽうで、本人の休息を妨げるほどの発熱・咳・鼻水であれば、お薬で少しだけ和らげてあげるのは良い風邪治療と言えます。
薬が直接風邪ウイルスを倒しているわけではありません。
薬が体を休みやすいように手助けしてくれ、体が休まると体力と免疫機能が回復して、風邪ウイルスが早くいなくなるイメージを持ちましょう。
正しいイメージを持てると、正しい風邪治療ができるようになります。
ホームケアも重要
こうした治療は、薬だけではありません。
休むのに快適な温度、湿度を整えるのことはとても大切です。
咳にはスプーン1杯のハチミツの有効性が示されています。
1歳以上のお子さんであれば、晩御飯のデザートとして、ハチミツ入りのヨーグルトなどを食べるといいでしょう。
鼻水が多いときは鼻水を吸ってあげるのもよいです。
鼻水が噛めるように、普段から練習しておくのも良いでしょう。
こうしたホームケアの知識があると、子どもが風邪をひいたときに、落ち着いて対応できます。
当院は「正しいホームケアの知識をみなさんに知ってほしい」と考え、ホームケア事典を出版しました。
2024.03.03
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正しいホームケアの実践は、子どもの風邪を早く治してくれる可能性があります。
抗菌薬は効かない
風邪はウイルスによって引き起こされます。
そして抗菌薬(抗生物質)は、ウイルスには効きません。
いっぽうで、抗菌薬は耐性菌を作り出します。
肺炎や腎盂腎炎など、本当に抗菌薬が必要な時に、効かない体になってしまいます。
副作用としての下痢もあります。
そのため、風邪に抗菌薬は百害あって一利なしと言えます。
鼻水が黄色になったから、緑色になったからといって、抗菌薬は必要ありません。抗菌薬には、肺炎や中耳炎を予防する力はありません。
抗菌薬は本当に必要になったときに使うようにしましょう。